桂枝茯苓丸料加薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)
当帰芍薬散は、血液不足を補い、水分の循環を改善し、全身の代謝を整える作用があります。血液を通じて栄養を運び、体を温め、全身の冷えを改善し、妊娠しやすい状態に整えます。「当帰」と「川芎」という成分は血液を補う効果があり、血行を良くします。また、「芍薬」は筋肉の緊張を和らげ、血管の健康をサポートします。更に、「沢瀉」、「茯苓」、「白朮」といった成分が水分の代謝を整えます。
温経湯は、血液を補給し、血液循環を改善することで、全身に必要な栄養を供給する効果があります。これにより、代謝が滞って生じる生理不順、生理痛、冷えなどにも効果が期待されます。主成分である「当帰」と「川芎」は血液を補い、血行を促進します。また、「牡丹皮」は血行を強化する効果があります。更に、「人参」と「生姜」は体の代謝を活性化させ、胃腸機能をサポートします。特に腹部や下半身の冷えを改善します。
温経湯は、脳に働きかけて黄体形成ホルモンの分泌異常を整え、排卵を促進し、黄体ホルモンの適切な分泌をサポートする作用が報告されています。
桂枝茯苓丸は、血液と水分の代謝を調整し、瘀血(血行不良)を改善します。下半身の冷えや栄養不足を緩和し、妊娠しやすい体づくりをサポートします。冷えると血管が収縮して全身の血流が悪化しますが、「桂皮」という成分は血管を拡張し、体を温める働きがあります。また、「桃仁」と「牡丹皮」といった成分が血液の流れを改善します。
「桂枝茯苓丸」は,漢方の古典といわれる中国の医書「金匱要略」の婦人妊娠病編に収載されている薬方です。 ..
安井ら2)は,排卵障害による不妊症例に対して,クロミフェン単独療法(52例)とクロミフェン・当帰芍薬散併用療法(41例)の比較検討を行った.排卵率には両者の間に差はなかった.妊娠率についても有意差はみられなかったものの,併用群で高い傾向があった.妊娠した時期を比較すると,併用群で有意に早く妊娠が成立しており,排卵したものの妊娠に至らない症例について,併用療法により妊娠に至る可能性が示唆された.
山崎らは,挙子希望で受診した1,818例に対し各種治療を行い,妊娠した522例のうち,53例が当帰芍薬散と桂枝茯苓丸を中心にした処方の投与で妊娠に至ったことを報告している.これらの患者は,主として機能性不妊症に属するもので,これらの症例は他の治療法では効果を認めず,漢方投与後初めて妊娠に至ったとしている1).
この場合は、漢方薬で腎陰を補い、不育症の改善を目指します。代表的な処方は六味地黄丸(ろくみじおうがん)です。服用を始めて8か月目に妊娠が確認され、翌年出産しました。
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この証の人に対しては、血行を促進する漢方薬を使います。代表的な処方は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。この人は桂枝茯苓丸を服用し始めてから生理痛が劇的に改善し、5か月後に再び妊娠しました。その後も流産予防の目的で、安定期に入るまで漢方を飲み続け、流産することなく、無事出産しました。
(手作り丸薬、桂枝茯苓丸); 子宝の温灸を併用する (ツボをおろして自宅で温灸を ..
妊娠しても流産、死産という結果になってしまうことを不育症といいます。流産は全妊娠の10~20%に起こり、一般的に3回以上流産を繰り返すと習慣流産と呼ばれます。流産の8割は染色体異常が原因と推定され、この場合は治療できません。染色体異常の原因としては、夫婦のどちらか、あるいは両方の染色体が原因の場合、精子や卵子そのものの染色体が原因の場合もありますが、染色体の検査では異常のないことが多いです。男女とも高齢化が原因のひとつと考えられます。
また、出血時に血液を固めて止血機能を果たす凝固因子に異常があると、胎盤内で血液が固まって血栓ができるため、胎児に栄養が到達せずに流産、死産になることがあります。こうしたケースでは血液を固まりにくくする薬のヘパリンが投与されます。漢方治療では柴苓湯(さいれいとう)や当帰芍薬散が用いられることもあります4)。
不育症の原因はわからないことが多いです。しかし治療なくとも半数以上の方が妊娠継続します。漢方治療の有効性を証明することは難しいですが、漢方治療は不妊治療のストレスや体への負担を減らし、患者さんに寄り添う治療法です。
また不妊治療等で桂枝茯苓丸など駆瘀血剤を内服している場合、降剤の作用がある ..
比較的、気鬱に対する処方が多いのが実態です。私の経験上、多く使っているのがきゅう帰調血飲(きゅうきちょうけついん)で、古典「万病回春(まんびょうかいしゅん)」では産後の様々な症状に使うとなっていますが、不妊症の改善を目的に受診する女性で気鬱、血虚、瘀血、水毒などの症状を持つ人に使います。
きゅう帰調血飲の構成生薬には気を巡らす作用がある香附子(こうぶし)が含まれています。日本の戦国時代の医師・曲直瀬道三の著書で医学書の「啓迪集(けいてきしゅう)」には、太った人、痩せた人ともに妊娠しづらいという記述とともに妊娠を望む女性に対し「香を加えて血を養うべし」と記述されています。香はまさに香附子のことで、古来から子供を欲しいと思う女性が気鬱になりがちなことを示唆しています。
また、不妊治療で漢方薬とタイミング指導を行って妊娠に至った事例の文献では、女神散(にょしんさん)、加味逍遙散、四逆散(しぎゃくさん)、きゅう帰調血飲といった気を巡らす作用や肝を整えて鬱状態を解消する作用の漢方薬の処方が多かったと報告されています2)。
西洋医学でも過去にはストレスを緩和させることが妊娠の助けになるとの報告3)もあり、この点は漢方でも同様にストレスが妊娠へのブレーキとなっている場合は、それを外すことで妊娠に至ることはあるということです。
両下肢の冷えが残り桂枝茯苓丸+当帰芍薬散に変更。 4か月後:両下肢の冷えも消失し継続。 ..
受精卵以外の原因についてお話します。受精卵が子宮に着床しない場合、西洋医学では子宮内膜が薄いことが原因と思われる場合はホルモン剤の処方や人工授精、子宮内膜炎の場合は抗菌薬が処方されます。
漢方治療では、繰り返しになりますが、まず冷え症など体調不良なところがあれば改善することが一番大切と考えます。その他に子宮内膜が薄いという場合に血を補うという観点で温経湯など当帰を含む処方を使用することが多いです。何らかの症状が認められない場合は補腎薬の六味丸、八味丸などを処方する以外にはなかなか手がないのが現状です。
温経湯は当帰芍薬散や桂枝茯苓丸、加味逍遙散と類似した生薬で構成され、なおかつ体を温める呉茱萸(ごしゅゆ)、血を補う阿膠(あきょう)、元気をつける人参などが含まれた処方です。『金匱要略』では温経湯について「婦人年五十ばかり…」の記述があり、高齢の女性に用いることが多い漢方薬です。
ツムラ25桂枝茯苓丸について | 漢方専門 後楽堂薬局(東京)
受精卵が育たない原因は、様々考えられます。西洋医学では受精卵を育てるための培養液の改善、排卵誘発方法の変更、手技の開発などの進歩が認められます。それ以外で受精卵が育たない原因として多いのが、受精卵の染色体異常です。受精卵(胚)を移植する前に染色体異常の有無をチェックして大きな異常がないと考えられるものを子宮に戻す着床前診断なども一部導入され始めています。
漢方治療について、私自身は基本的には証を判断し、症状や所見がなければ腎虚と考えて処方を行います。女性の卵子の染色体異常は年齢が上がるにつれて頻度が高くなることは周知ですが、例えば高齢妊娠に関して、平均40歳のARTを受けている女性に腎虚を改善する漢方薬、別名補腎薬と呼ばれる八味丸(はちみがん)を処方し、無事妊娠に至ったケースでは処方前後で発育卵胞数、回収卵子数、受精卵数などが有意な増加傾向を認めたとの報告もあります1)。このように補腎薬に反応して妊娠する人もいれば、そうでない人もいます。いずれにせよ体調を整えることで西洋医学のARTに反応することはあります。
ただ、受精卵の染色体異常にまで漢方薬が有効性を発揮するかはかなり疑問があります。不妊に対する漢方治療にあたっては、こうした見解はあらかじめ患者さんにもお伝えしています。
今回紹介する桂枝茯苓丸は、比較的体格が良く体力のある方に有効性があります。 下半身の冷えがつらい方、シミができやすい方などにおすすめです。
卵管閉塞の場合、片側の卵管閉塞であれば自然妊娠の可能性はあるものの、両側の卵管閉塞では自然妊娠の可能性はありませんし、漢方薬で閉塞した卵管の治療はできないので、西洋医学での体外受精の適応になります。
排卵については、ストレスや体調不良で抑制されることはよくあります。漢方治療ではまず体調で困っている症状がないかを確認し、治療します。また腎虚によるものと考え八味丸や六味丸を用いることは多いです。
不妊治療ではまず月経時にホルモン検査をします。もしPRL(プロラクチン)というホルモンが高い場合は、西洋医学的治療を行います。このホルモンは脳下垂体から分泌され、乳腺を刺激して母乳の分泌を促進する乳汁分泌ホルモンですが、値が高いと排卵を抑制することがあります。西洋医学的治療で、短期間に効果がみられ副作用も少ないので、漢方治療の適応ではないと考えます。
FSH(卵巣刺激ホルモン)が高い場合は、卵巣機能そのものの低下を考え、排卵誘発剤を使用します。このとき漢方治療を併用することで、排卵誘発剤の反応がよくなることは、よく経験します。
LH(黄体刺激ホルモン)が高い、エコーで小さい卵胞がたくさん認める場合はPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を考えます。
多嚢胞性卵巣で肥満がある場合、少し体重が減少するだけで自然に排卵することがあるので、まずダイエットを勧めます。漢方治療でも体重減少に役立つものがあります。桂枝茯苓丸や防己黄耆湯などを使います。
多嚢胞性卵巣に対する漢方治療に関しては桂枝茯苓丸、温経湯(うんけいとう) が有効との文献報告は多く見かけます。実際、こうした症例を診察すると、この2つの漢方薬の適応となる証(しょう)を示す患者さんは多いと感じています(表2)。
【漢方の基礎知識】漢方の気血水と五臓とは? 漢方解説 桂枝茯苓丸とは.
桂枝茯苓丸は子宮内膜症や子宮筋腫などによく使われますが、漢方ではこれらの状態を瘀血と見なします。桂枝茯苓丸は気の循環異常である「気逆」に対して気を降ろして改善する作用のある生薬の桂枝、水の巡りをよくする生薬の茯苓、血の巡りをよくする桃仁(とうじん)、牡丹皮、芍薬という生薬が含まれ、当帰芍薬散に比べると水の巡りを改善する生薬の種類が少ない反面、血の巡りをよくする生薬は数多く含まれています。
なお『金匱要略』では桂枝茯苓丸の適応について「其の癥(ちょう)を下すべし」と記述されています。「癥」とは、以前からお腹の中にあるよくない塊というものを意味しています。その点からまさに子宮筋腫などは癥ともいえるわけです。
また、桂枝茯苓丸は別名で催生湯(さいせいとう)といわれます。例えば予定日を過ぎても出産に至らない妊婦に処方し、子宮を収縮させて出産を促す、文字通り生まれることを催す使い方もあります。また、出産や流産のあとに、胎盤や絨毛の一部が子宮内に残存している状態に処方することもあります。
そのため妊娠判明後は基本的に服用を中止すべき薬です。妊娠検査薬は受精から2週間で陽性になるため、妊娠反応が確認された段階で服用中止すればよいでしょう。
加味逍遙散は当帰芍薬散、桂枝茯苓丸と比べ、柴胡、生姜(しょうきょう)、薄荷(はっか)、甘草(かんぞう)という気に関する生薬が多く含まれ、血に対する生薬の当帰、芍薬、山梔子(さんしし)、牡丹皮、水に対する茯苓、蒼朮(そうじゅつ)という生薬も入っており、女性の多様な不定愁訴によく処方します。
すずさん、こんにちは。 桂枝茯苓丸の添付文書には『妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが 望ましい。
例えば女性側が、生理痛がひどく、そこから慢性的な腹痛や腰痛に至った影響で夫婦生活が営みづらくて妊娠に至らなかったケースがあります。この患者さんは診察の結果、体内の水のバランスが崩れた水毒に加え、血虚、瘀血があると診断して当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を処方しました。その結果、腰痛などが緩和されたことで夫婦生活が復活して自然妊娠に至りました。
当帰芍薬散は血を補う当帰、血の巡りをよくする川きゅう、芍薬(しゃくやく)、水の巡りをよくする茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)という生薬で構成され、血虚と水毒に対してよく用いる処方です。古典書『金匱要略(きんきようりゃく)』では妊娠に関係する婦人の腹痛に使う薬と記載され、妊娠中の母体や胎児に好影響を与える安胎薬として妊娠中も安心して使える薬です。
この当帰芍薬散に加え、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)の3種類が婦人科領域でよく使われる通称・婦人科三大処方と呼ばれる漢方薬です。不妊治療を目的としている女性では、こうした漢方薬などで常日頃悩んでいる症状を改善させることで自然妊娠に至るケースは少なくないと考えています。
桂枝茯苓丸は受精を妨げる?不妊に有名な漢方ですが、血を巡らせすぎて流産の可能性があるので、妊娠発覚したらすぐ辞めるんですよね?
これまでにお話した1.当帰芍薬散、2.温経湯は、日本漢方で言う実証・虚証のうち、虚証の時に使用する頻度の多い薬剤ですが、桂枝茯苓丸は、実証の時に使用しやすい薬剤です。
また、桂枝茯苓丸は 駆瘀血剤の主たる薬剤の一つで、血流を良くしていきます。
卵巣を刺激するホルモンを分泌する臓器や子宮・卵巣への血流が良くなれば、妊娠にもつながるということが、イメージしていただけると思います。